先日、メンバー・チェンジを発表した、ガールズ様式美HRバンドFATE GEARの最新メンバー・インタビューをお届けする。
このインタビューを行った時点ではメンバー・チェンジの発表は行われておらず、当初、当方からはMina隊長(Gt)Nico(Vo)HIRO(Dr)の3人へのインタビュー・オファーを出していた。しかし、バンド側から今回のメンバー・チェンジの話が内々に伝えられた為、予定を変更してMina隊長、Nico、Kurumi(Key)の3人へのインタビューを行う事となった。


Fate Gear Nico

LiveLand(L):まず、Nicoさんには、前回のMina隊長と同じ質問をさせて頂きます。3月~4月に行った東名阪ツアーの感想は?

Nico(N):私にとっては、初めての経験でしたので、ツアーが始まる前には、不安になる事もありました。でも(初日の)名古屋が終わってからは、不安な気持よりも、楽しい気持ちが強くなりましたね。連日のライヴになりましたが、のどが不調になる事もありませんでした。良い経験になったと思っています。
Kurumiちゃんを迎えた新生FATE GEARでも、またツアーをやりたいと思っています。

L:Kurumiさんは、ツアーの後からライヴに参加して、数本行っていますが、どんな感想をお持ちですか?

Kurumi(K):ガールズ・バンドは、これまで経験がなくFATE GEARが初めてなので、すべてが新鮮で面白いですね。メタルは、他のバンド(MISTERIOUS PRIESTESS)でも、プレイしていますが、女性は私ひとりですし、音楽的にもかなり方向性が違いますから。

Fate Gear Kurumi

L:Mina隊長は、Kurumiさんが加入した事による変化について、どう思っていますか?

Mina隊長(M):例えば"MEGABULLETS"では、これまではキーボード単体のソロはありませんでしたが、Kurumiちゃんが新しいソロ・パートを付けてくれて、曲が新鮮になってますね。それに、Kurumiちゃんは、コーラスがとても上手いので、そこがすごく助かっています。

N: "MEGABULLETS"の新しいキーボード・ソロがすごく好きで、スタジオのリハーサからずっと楽しんでいます。(笑) Kurumiちゃんの様な素敵なキーボード・プレイヤーを隊長が見つけてくれて、一緒にできて嬉しいです!

L: Kurumiさんの音楽的なルーツは?

K:両親が二人とも音楽が好きなので、私も子供のころから、特に意識はしないままに、いろいろな音楽を吸収してきました。本当にいろいろなジャンルなんですが、敢えて言えばプログレですね。あと、メタルも少し聴いてました。それから映画音楽、、、やっぱり、いろいろですね。(笑)
(演奏する方では)ずっとクラシックをやっていて、ピアノとエレクトーンをずっとやってきました。大学ではジャズを勉強していました。
私自身、音楽を仕事としていきたいと思っているので、今でも、バンド以外にもいろんな音楽活動をやらせて頂いています。

L:FATE GEARの音楽にも、今後、Kurumiさんの幅広い音楽性が入ってきそうですね。

M:かなり入ってくると思います。(笑)

Fate Gear Mina

L:ところで、少し前の話になりますが、Mina隊長とNicoさんがFATE GEARを一緒にやる事になったキッカケは?

M:もともとは別プロジェクトのANIMETA Girlでヴォーカルを探していて、ニコニコ動画で見つけて、それがキッカケでしたね。

L:Nicoさんは、隊長が書いたFATE GEARの曲を聴いてどう思いましたか?

N:私はJanne Da Arc(ジャンヌダルク)や、JAM PROJECTが好きで、もともとはメタルは歌ってきませんでした。でも、メタルは好きでしたし、女性がヘヴィで力強い音楽をやる、という事に対する憧れもあって、隊長の曲は、まさに理想的な感じがしました。逆に、私が歌っていいのかな?と少し恐縮した事もありました。

L:確かにFATE GEARでのNicoさんの歌も、全てがメタル的な歌い方では無いですね。でも、物凄いスクリームやシャウトもあります。

N:あんなシャウトをするのは、FATE GEARが初めてなんです。だから、今でも、日々精進という気持ちでやっています。 "MEGABULLETS"はアルバムの中でもスラッシュ・メタル的な曲ですが、歌は、CHASTAINのレザー・レオーネを参考にしています。

M:レザーは、女性のロニー・ジェイムス・ディオと言われてるシンガーなので。

N:日本のバンドでは、TERRA ROSAの赤尾(和重)さんですね。以前、赤尾さんとライヴをご一緒させて頂いた時に、いろいろアドバイスを頂けました。その他にも、ライヴでお会いしたいろいろな方からヒントを頂いています。

M:赤尾さんが私たちのライヴを見てくださっていて、後から、「Nicoちゃんの歌い方は、男前だね!」と仰ってました(笑)

L:そうなんですか!私も最初にFATE GEARのライヴを見た時の感想は「男前」でした。(笑)

Fate Gear Nico

L:先ほど話題に出た"MEGABULLETS"は、歌詞をNicoさんが書いていますが、どんな思いを込めた歌詞なんですか?

M:曲を作った段階で、タイトルはできていて、歌詞を作って!とお願いしたんです。(笑)

N:この曲の歌詞の内容は「過去からの脱却と未来への挑戦」です。隊長も私も、お互いのバンド活動で、いろいろな辛い経験をしてきた過去があるんですが、そういった事にとらわれずに打破していこう!新しいFATE GEARとして、もっと頑張って行こう!という意味がこもっています。
この曲は、とてもハードなんですが、隊長の書く曲は、ハードでもメロディがキレイなので、取っつきやすいですね。

L:Nicoさんのプロフには、好きなアーティストとして、KIX-Sもありますね。

N:はい!KIX-Sは大好きです。"抱いて抱きしめて"のPVがすごく好きなんです!あと、ヴォーカルの浜口(司)さんは、舞台もやられていて、魅せるのがとても、上手だなと思っています。

M:FATE GEARのPVでも、Nicoは「KIX-Sみたいにやりたい!」って言ってましたね。(笑) 

L:次の話題は新曲についてです。今夜(5/8)に新曲をプレイする事になっていますね?この曲について話して頂けますか?

M:曲そのものは、以前から温めていたんです。歌詞はありませんでしたが、"Scars in My Life"というタイトルはありました。語感からタイトルを先に決めちゃうんですよね。(笑)

N:そうだったのか!(笑)

M:その後、劇団わたあめ工場さんとのコラボの話があり、脚本家さんにも気に入っていただけたので「Oz-1526」のストーリーをお借りして、コンセプト・アルバムを制作する事になりました。この曲は、そのコンセプト・アルバムのリード・トラックにしようと思っています。

N:私が一年ほど前に、舞台に立たせていただいた時に、知り合いになった方のつながりで、この話が実現する事になりました。

M:物語の世界観がファンタジー的で、FATE GEARのイメージにも合っていると思います。FATE GEARも当初からスチーム・パンクをバンドのイメージとしてきました。レトロ感があって機械的なイメージですね。舞台にも共通点があると思ったので、是非、やらせてくださいと。この3人で、4月に舞台を拝見して、曲のイメージ作りにつなげています。

L:新曲1曲だけではなく、アルバム全体を通したコンセプト・アルバムになるという事ですね。

M:はい、そうです。分かりやすく言えば、RHAPSODY(現RHAPSODY OF FIRE)のエメラルド・ソード・サーガですね。今回はアルバム1枚で完結する予定ですが。(笑)(注:RHAPSODYのエメラルド・ソード・サーガはアルバム5枚で完結する作品)

N:私が好きなJanne Da Arcにも「Another Story」というコンセプト・アルバムがあって、FATE GEARでも、いつかコンセプト・アルバムを作りたいと思っていたので、それが実現するので、ワクワクしています!

M:これまでのFATE GEARらしさは保ちつつも、音楽的に広がったものになりますね。デモを作って、劇団の脚本家さんとも話し合いをしています。先方からも、これは良い、これはNG、といった形で、具体的な意見を頂いています。あと、ジャズの要素を入れて欲しいといった、ご要望もあります。

Fate Gear Kurumi

L:ジャズですか!といえば、Kurumiさんの出番でしょうか?

K:そのジャズの部分は、まだ完成していないんですが、FATE GEARらしさを持ったジャズ、というのはとても難しいですね。

M:これ(ジャズのアプローチ)が上手く完成したら、他では例がない音楽になるかもしれないですね。

L:新曲はどの程度出来上がっているのでしょう?

M:全体の半分くらいです。

L:Kurumiさんが入った事によって曲作りに変化はありますか?

N:これまでは、思ってもいなかったインプットをしてくれたり、彼女がいなかったら、出来ていなかった曲もあると思います。

K:私はいろいろな音楽的な影響を受けていますが、一つの音楽性に縛られるのではなく、常に幅広く、ジャンルレスでありたい、私だけにしかできない音楽を作りたいと、ずっと思っています。

L:なるほど、新作が楽しみですね。制作に集中するためでしょうか?今後は少しライヴのペースが落ちますね。

M:はい、5/28のライヴが終わったら、6月は完全に制作期間に入ります。その次のライヴは、7/23の私とNicoのバースディ・ライヴになります。そこでも、また新曲が披露できると思いますので、楽しみにしていてください!

2016.5.8

Fate Gear Mina

インタビューを最後まで読んでいただいてお分かりの通り、話の中ではHIROの脱退については一切触れていない。バンド側からメンバー・チェンジに関する質問はNGなどと言われはしなかったが、この時点では、公式アナウンスはされていなかった為、筆者の判断で質問はしなかった。

この夜のFATE GEARのライヴは、筆者が見てきた中でも過去最高といえるライヴだった。ライヴでのFATE GEARサウンドに重要な役割を果たしてきたHIROの脱退は残念ではあるが、新しいメンバー、そして充実の新曲と共に、次のステップを踏み出そうとしているFATE GEARの今後に期待したい。

ライヴ・インフォメーション

5月28日(土)東京・目黒鹿鳴館
【Marverics & Mystics】

・「JILL’s PROJECT-D」 DioKen(vo) 島 紀之(g) ANI-Katsu(b) SHOW(d) Jill岡垣(k)
・BLINDMAN
・(OA)FATE GEAR
開場18:00 開演18:30
前売3,800円、当日4,300円(ドリンク代別)

7月23日(土)東京・目黒鹿鳴館
Mina隊長&Nicoバースデー企画!
FATE GEAR / SKYWINGS / Xaos / M.D.M.S
Guest : Aphrodite / Kacchang (Phantom Excaliver)
開場16:00 開演16:30
前売2,500円、当日3,000円(ドリンク代別)