ビルボード・チャートNo1アルバム!DISTURBED 

2000年のデビュー以降、全てのアルバムでミリオンヒットを記録しているアメリカのモダン・メタルバンドDISTURBEDが約5年間の沈黙を経てリリースした6枚目のアルバム「IMMORTALIZED」が、米ビルボード・チャートで見事に1位を獲得した。いくらミリオンの常連とはいえ、大御所と呼ぶには若すぎる彼らにとって、5年間の空白はで決して短いとは言えない。それにもかかわらず、以前と変わらぬスタイルでアルバムを制作し、当然のようにチャートのトップに送り込んでしまう所に、このバンドが別次元である事を思い知らされる。

リフとドラム、サンプリング・サウンドの融合による独特のグルーヴ

切れ味鋭いリフとドラム、そしてサンプリング・サウンドの融合によって生み出される独特のグルーヴは本作でも健在で、初めて聴く曲にも関わらず、まるで長く聴きこんだアルバムの様な感覚に陥る。音の種類は違うがAC/DCのアルバムを聴くのに似ている。無機質とも言えるリフの波状攻撃の中に切れ込んでくる、モダン・ヘヴィネスらしからぬキャッチーな歌メロやギターソロもDISTURBED以外の何物でもない。

原曲の素晴らしさを損なわないオリジナルアレンジ

本作のアクセントとして、ピアノとストリングス・アレンジをフィーチャーした、サイモン&ガーファンクルの名曲The Sound of Silenceのカバーが異彩を放っている。誰もが知るヒット曲に対して、奇をてらったアレンジを施すのでも完コピするのでもない。ヴォーカルもオリジナルの美しいハーモーニーではなく、デイヴッド・ドレイマンが男臭い声で歌い上げている。原曲の素晴らしさを損なわないオリジナルアレンジは圧巻の一言だ。

日本のHR/HMトレンドは、欧米の人気がそのまま日本での人気と連動しないケースが多いがDISTURBEDはその典型例だろう。ライヴでバンドの凄味を見せつける事が重要なのだろうが、本国との温度差があればあるほど来日公演へのハードルが上がってしまう難しさがある。沈黙を破ってバンドが再スタートを切った本作が、どこまで日本のファンの心に響くかがポイントになるだろう。

なお、本作のレコーディングには、ベーシストのジョン・モイヤーは参加しておらず、ベースパートは、ギタリストのダン・ドネガンがプレイしている。ジョンの不参加は他プロジェクトのスケジュールとの兼ね合いという事で、バンドのメンバーである事に変わりはない様だ。