様式美ガールズ・メタル・バンドFATE GEARが、昨年夏のデビュー以来、初となる東名阪ツアーを行った。3月最後の週末に名古屋ell.FITS ALL、大阪paradigm、東京Wild Sideを移動日無しで周り、翌週末の4月3日にバンドのホームとも言える東京・目黒の鹿鳴館でツアーを打ち上げた。今回は、その鹿鳴館で行われたツアー・ファイナルのライヴ・レポートをお届けする。

fate gear

mina

"GIRLS ON THE BEAT!!"と題された、この日のライヴは、その名前のとおり、FATE GEARの他、CREA、FullMooN、Risky Melody、Angelic Angelica、菜摘美(Guest)と、出演ミュージシャンが全員女性というイベントだった。それぞれのバンドが独自の色を出し、見事なライヴ・パフォーマンスを披露して会場を盛り上げていた。

Nico

Hiro

予定の登場時刻よりも15分ほど遅れた19:45頃、暗転した場内にデビュー・アルバムのオープニング"Machinery Angel"がSEとして流れる中、HIRO(Drs)、Mina隊長(Gt)、サポート・メンバーのmiyou(Ba)、LAYLA(Key)が登場しスタンバイする中、FATE GEARグッズのパーカーを頭からスッポリと被ったNico(Vo)がステージ中央に現れた。被っていたパーカーを脱ぎ、頭上で客席を見渡しながらグルグルと振り回す。その姿はルックスとは裏腹に勇ましい雰囲気があり、まるでリング上でゴングが鳴るのを待っているファイターの様だ。全力で駆け抜けてきたツアーのファイナルで最後の力を出し切る、そんな決意が感じられた。そして、Mina隊長も、ライヴのスタートが待ちきれない!と言わんばかりに、SEが終わるかなり前からフィードバックを鳴らしまくり、そのヴォリュームを上げてSEをかき消す。Nicoのコールに合わせてHIROのカウントが入りオープニングの"Fate Gear"がスタート、ついにFATE GEARのライヴが始まった!

 fate gear

Mina

HIROの激しいツーバスの連打と、切れ味鋭いリフに合わせてフロントの3人、Mina隊長、Nico、miyouが激しく頭を振りまくる。Nicoはヴォーカル・ラインをアルバムどおりに高らかに歌いあげるのは勿論、歌以外のパートでも声を出して観客を煽りまくる。Mina隊長も、歌のあるパートでは、ステージ中央はNicoに任せて自分の立ち位置でバッキングに徹しているが、その存在感は圧倒的でプレイは気迫に満ちている。激しいリフを刻みながら、視線で客席を煽る。そしてギター・ソロのパートでNicoと入れ替わる形でステージ中央に飛び出すと、そこからは正に隊長の独壇場だ。決して派手なフレーズを連発する訳ではない。むしろ今の時代のHR/HMとしては少なすぎる音数だ。それでもMina隊長のギター・プレイは見る者を引き付け、そのフレーズは聴く者を魅了する。キーボードのLAYLAとのハーモニーもバッチリだ。

fate gear

Fate Gear

この時点ではこの先ライヴが何曲、何分続くのかは分かっていなかったが、最初からバンドも客席もエンジン全開、という感じで飛ばしているのがわかる。オープニングの"Fate Gear"が終わると、休む間もなく2曲目の"Romancer"が始まった。イントロのギターのメロディが印象的なこの曲は、FATE GEARのアルバムで"オリジナル・バージョン"として歌詞も歌メロも全く異なるテイクで再レコーディングされた曲だ。オリジナルの歌詞は"桜"をテーマにしており今の季節にはピッタリだ。アルバムどおりの流れで曲は"Deathless Memories"へと続く。アルペジオのギターをバックにNicoがオープニングのフレーズを歌い上げ、HIROのカウントを合図に、ギターのイントロ・メロディが始まる。ここで聴けるMina隊長の奏でるタメをきかせたメロディはとても味わい深い。美しいメロディのバックでHIROが入れる重たいドラムが、ドラマチックなイントロを、より盛り立てている。冒頭のアルペジオもオリジナルはクリーン・トーンだが、ライヴでは少し歪んだ音でプレイされるのも、ハードロック的な感じで、Nicoの綺麗なヴォーカルを際立たせている。キャッチーさと激しさを併せ持った"Deathless Memories"まで3曲立て続けにプレイしたところで、MCが入りライヴはようやく一区切りだ。

fate gear

Mina

メンバー紹介を含んだNicoのMCの途中でHIROも話に加わり、今回のツアー中に起こったハプニングを話題にして会場の笑いを取る。そしてサポート・メンバーとして半年間バンドでプレイしてきたキーボードのLAYLAが、この日のライヴで最後という事で、メンバーから寄せ書き色紙と花束が贈られた。FATE GEARはMina隊長、Nico、HIROの3人がメンバーではあるが、ライヴではLAYLAそしてベースのmiyouもバックで演奏するだけではなく、ステージングという意味でも重要な役割を担っており、少なくともライヴのステージ上では、サポートという立ち位置ではない。

ライヴの雰囲気が少し和らいだところで、HIROのドラムに合わせて短いジャム演奏に続けて"黎明"が始まる。ミドル・テンポのドラマチックなこの曲は、ギター以外の演奏がプログラミングで作られたアルバムでは、Nicoの表情豊かなヴォーカルと、隊長のメロディアスなプレイが印象的だが、ライヴのバンド演奏では、ダイナミックで壮大な曲に生まれ変わる。Nicoに促され客席からもリフレインに合わせた大合唱が起こっていた。

Nico

Mina

続く"MEGABULLETS"はNicoの凄まじいスクリームに度肝を抜かれる。激しい曲から優しく静かな曲まで、豊かな声量で歌い上げる実力をもったNicoだが、この曲の、特にライヴでは彼女の別の側面が現れる。少しダーティな声でメインのメロディを歌う姿もそうだが、両手でマイクを握りしめ、渾身の力を込めるスクリームは鳥肌モノだ。ミドル・テンポの少し悲し気な雰囲気の"Nocturnal Moon"、そしてアルバムのラストを飾るバラード"沫雪の祈り"と、メロディアスな曲が続けてプレイされる。狂気をも感じさせる"MEGABULLETS"とは対照的な、美しいメロディに溢れた展開で、ライヴは終幕へと向かう。
Nicoの力強いコールでラストのスピード・チューン"Winds of Fall"へ突入し、Mina隊長の派手なイントロ・フレーズのプレイがさく裂する。この曲での、HIROのスピードと力強さを併せ持ったドラムは、疾走というよりも突進という言葉が相応しい。そのHIROとmiyouのリズム・セクションがが作り出す突進リズムにNicoの高らかなヴォーカル・ラインが乗り、それがMina隊長のギター・ソロに引き継がれ、LAYLAとのコンビ・プレイに繋がっていく。正に様式美ガールズ・バンドFATE GEARの真骨頂と言える曲は、Nicoの激しいシャウトで終了。FATE GEARのデビュー・アルバム「A Light in the Black」を全曲プレイした本編が終了した。

HIRO

Fate Gear

アンコールに応えてFATE GEARのメンバーと、この日、主演したバンドのシンガー達が登場し、この日の締めくくりとして、SHOW-YAの大ヒット曲"限界Lovers"がプレイされた。各シンガーが交代でヴォーカル・パートを分け合っていたが、ふと気がつくとNicoの歌声はすれどもステージ上に姿が見つからない。良く見ると、なんとNicoがステージから降りて、フロアの最前で歌っていた!歌のパートでは後ろに下がっていた隊長もソロ・パートになると、ステージ中央で楽しそうにプレイをしていた。最後は会場全体で「Back to the Fire!!」の雄たけびが上がり、最高潮の盛り上がりで、この夜のライヴは幕を閉じた。

session

fate gear

4/3 鹿鳴館セットリスト

SE:Machinery Angel、1.Fate Gear、2.Romancer、3.Deathless Memories、4.黎明、5.MEGABULLETS、6.Nocturnal Moon、7.沫雪の祈り、8.Winds of Fall、encore:限界Lovers (session / SHOW-YA Cover)

session

session

Mina隊長(G)のインタビューを近日掲載予定です。ご期待ください!

FATE GEARインフォメーション

ライヴ・スケジュール:http://fategear.jp/live/

オフィシャル・ホームページ:http://fategear.jp/