札幌を拠点とするパワー・メタル・バンドMAVERICKのリーダー堀田勝彦(G&Vo)のインタビューをお届けする。

カイ・ハンセン(GAMMA RAY)やヨナス・ハンソン(SILVER MOUNTAIN)、ピート・シールク(IRON SAVIOR)といった海外ミュージシャンと交流を持ち、MAVERICKのアルバム「Natural Born Steel」で共演(カイはヴォーカル、ヨナスはリード・ギターでゲスト参加、ピートはアルバムのプロデュース・ミックスを担当)した事もある堀田だが、少年時代からカナディアン・メタルの大御所ANVILの大ファンでもあり、前回のANVIL JAPAN TOUR 2014では、サポートとしてMAVERICKで共演を果たしている。堀田が敬愛してやまないANVILLIPS(G&vo)への思い、そして新メンバーを迎え、間もなくツアーを開始するMAVERICKについて語って貰った。

ヘヴィ・メタル、そしてANVILとの出会い

LiveLand(L):まず最初に、堀田さんとANVILの出会いについて教えてください。ANVILを好きになったのはいつ頃、何がきっかけだったのでしょう?また、ANVILのどんな所に魅かれたんでしょうか?

堀田(H): 小学生の頃、HEAVY METAL好きの従兄弟の兄ちゃんの家に、たまに、泊まりに行っていまして、壁に貼ってあるKISSやAC/DCやRAINBOWのポスターを見て、なかなか寝付けない程、怖かったのを覚えています。中学の頃から、当時流行っていた洋楽を聴き始め、HEAVY METALもその中の一つでした。

HEAVY METALの初心者だった俺は、最初に従兄弟が持っていたIRON MAIDENの「Piece Of Mind」を聴いたんです。確かに曲は素晴らしい。しかし、HEAVY METALなのに、音質・質感的に、HEAVYでは有るがMETALさが足りない、そう思っていたある日、その従兄弟の部屋で、ANVILの「Metal On Metal」のLPを見つけました。半信半疑でレコードに針を落とした瞬間、自分がイメージするHEAVY METALは、正にこれだと思いました。IRON MAIDENより古いアルバムなのに、ANVILのサウンドの方がより新鮮で新しさを感じました。金属音から始まり、ザクザクしたハイゲインなギター、畳み掛けるドラムス、ヒステリックなヴォーカル。これが、ANVILとの出会いでした。

ANVILの意味不明に押しまくる部分と、カナダらしい爽快感溢れるポップな部分のコントラストに魅かれました。他人に迎合せず、自分達のスタイルを貫いている所も尊敬しています。特に、LIPS(G&Vo)は、カッコつけずに全てをさらけ出す所が、大好きです。自分が思うROCK像が正にそれです。死ぬ程、尊敬してます。

LIPS_HOTTA

L:ANVILのメンバーと交流を持つ様になったきっかけは?

H: ANVILが出演したLOUD PARK 2006は、残念ながら、観に行く事が出来なかったので、次に来日したら、必ず観に行く事を心に誓っていました。その後、映画「アンヴィル! 夢を諦めきれない男たち」に合わせて来日した時は、ワイドショーで話題になった試写会やファン・ミーティングやミート&グリート、その他、ANVILが出演するライヴやイベントは全て参加しました。試写会ではLIPSの目の前で、俺が泣いてしまい、それを観たLIPSも貰い泣きしてくれて、更に感動してANVIL愛が深まりましたね。

映画「アンヴィル! 夢を諦めきれない男たち」のDVDの初回特典DVDにも、俺もインタビュー出演させて貰い、その頃から、LIPSやロブ(ライナー/Drs)と、話すようになりました。その後LIPSとは、たまにメールをやり取りするようになり、今では「お前はこんな遅い時間まで起きて何してるんだ?」とか、たわい無いメールも来るような関係になりました。夢の様な事です。

MAVERICKのライヴでも、日本一のANVILマニアであるSATANICAのRitti Danger(Drs)を呼んで"School Love"、"Metal On Metal"、"Shadow Zone"をカヴァーして一緒に演奏した事があります。懐かしいですね。MAVERICKのANVILソング完コピ度合いに感動したRitti Dangerが、涙ぐんでいたのが印象的でした。ANVIL愛に纏わる美しい思い出です。

「Anvil Is Anvil」を聴いて

L: そのANVILの16作目のアルバム「Anvil Is Anvil」がリリースされ、堀田さんのラジオ番組「HEAVY METAL ROMANCE」でもオンエアされていました。ニュー・アルバムを聴いた感想はいかがでしたか?

H: 「Anvil Is Anvil」は、看板に偽り無く、ANVILらしさ満載の素晴らしい作品だと思います。過去のアルバムと比べて、更にANVILらしさに拘っていると感じました。特に、ギターのソロやオブリガードは、いつも以上にその姿勢を感じます。

L: 特に気に入った曲ベスト3をあげていただけますか?理由も合わせて教えてください。

H:
"Daggers And Rum"
パイレーツソングがANVILに合ってて面白い。RUNNING WILDの様な勇壮な感じでは無く、ポップな感じで、映画のパイレーツ・オブ・カリビアンが思い浮かびました。

"Up Down Sideways"
ANVILの'90年代のパワー・メタル・ナンバー、"Smokin' Green"や"Speed Of Sound"を彷彿させる曲で、聴いた時、嬉しい気持ちでした。

"You Don't Know What It's Like"
意外性が良かったですね。LED ZEPPELIN、あるいはJUDAS PRIESTの様な、ブリティシュな香りが漂う曲です。

L:新作以外で最も好きなANVILのアルバムは何ですか?理由も合わせて教えてください。

「Metal On Metal」(82年)
とにかく音の質感が鋼鉄アルバム!!!"Metal on Metal"のギターソロ前のLIPSのシャウトがシビれる。"Mothra"のギターソロ前からのリフ展開の格好良さが尋常じゃ無い。"Jackhammer"は地味に難解。"Tease Me, Please Me"の疾走感!

「Forged In Fire」(83年/邦題:ヘヴィ・メタル・マシーン)
荘厳さと叙情性が溢れるアルバム!!!"Forged In Fire"の歌詞と歌の説得力。"Shadow Zone"の爆走。"Free As The Wind"の歌メロが素晴らしい。"Motormount"の問答無用の破壊力。

「Hard 'N' Heavy」(81年/邦題:ヘヴィ・メタル・ドリーム)
パワー・メタルなんだけどロックンロールなアルバム!!!"School Love"のギターソロの前の刻みが最高。"Bedroom Game"のバカっぽさ。"Ooh Baby"のリフはHEAVY METAL史上に燦然と輝く。"Hot Child"のバースのドラムがクール。

ANVIL JAPAN TOUR 2014での共演

robb hotta

L: 2014年の来日公演でMAVERICKは東京、仙台でサポートとして出演しています。LIPSから指名を受けての出演だったそうですが、当時の事を話していただけますか?

H: LIPSから「ジャパン・ツアーのサポートアクトにMAVERICKを指名したから宜しく!」というメールが、2014年7月頃に来たんです。最初ANVIL側の意向は全公演をMAVERICKとSATANICAでサポートアクトで周って欲しいという事だったんですが、大人の事情により、蓋を開けたら、あんな感じ(注:MAVERICKは東京2日目と仙台に出演。SATANICAは仙台に出演)になりました。

東京2公演と仙台のサウンドチェックから、見せてもらいまして、実際にステージ上で使用機材について、色々、LIPSに教えてもらう事ができて、勉強になりました。サウンドチェックの合間には、当日演奏しない曲を俺がリクエストしたら、沢山弾いてくれました。東京も盛り上がって良かったんですが、この仙台公演はすごく盛り上がりました。今迄、MAVERICKは何度も仙台でライヴをしていますが、この時は、最も熱い本物のメタル・ヘッズが東北各地から集結していた感じでしたね。

仙台では、ステージ上にANVILの機材が満載で、俺の立ち位置が無くなってしまったので、ビールケースを重ねてステージ前のセンターに俺だけのステージを作りました(笑)。それも含めて、凄く楽しかったです。
こんな素晴らしい時間を与えてくれたANVILと来日公演を企画したBFC Producitonsに感謝しています。先日、ANVIL JAPAN TOUR 2016が発表になりましたね。前回行うはずだった幻の札幌公演が、今度こそ実現したら嬉しいです。BFC Productionsの皆さんなら、きっと、やってくれるでしょう!

トリビュート・アルバム「Strong as Steel」

L: ANVILは現在のツアーで、MAVERICKが「Strong as Steel」でカバーした"Ooh Baby"(1st「Hard n'Heavy」収録)をセットリストに入れていますが、ご存知でしたか?

H: はい、もちろん!アレンジも、原曲に忠実で嬉しいです。俺のしつこいリクエストが効いたのかも。(笑)

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L: "Ooh Baby"はANVIL自身も殆どライヴでプレイしてこなかったレアな曲です。MAVERICKがこの曲をカバーで選んだ理由を教えてください。

H:トリビュート アルバムの曲を選ぶ時、有名曲やベタな曲を選ぶのは、自分的に好まないので、他人が選ばない隠れた名曲を選びました。この曲のギターリフが昔から大好きで、ベースも少しファンキーで楽しそうだったので決めました。「Strong as Steel」の時は、ポーランドのSkol RecordsのプロデューサーのBart Gabrielに曲が他のバンドと被らないように、事前に情報を聞き出しました。 

新体制となったMAVERICK

L: ここからはMAVERICKについてお伺いします。最近の大きな話題として2人のメンバー・チェンジがありました。磯江 太生さん(G)、横内 一将さん(Drs)ともに若いメンバーですが、2人が加入に至った経緯を教えてください。

H:単純に、若い人とやってみたかった。もともと、二人共、MAVERICKのファンで、彼らが高校生の頃にMAVERICKのサポートバンドとして、磯江は旭川や富良野で、横内は函館で共演していました。
磯江については、以前、彼のバンドANELASを俺がプロデューサーや、ツアーマネージャーやベーシストとして関わり、それを通して彼の才能をMAVERICKに活かせると思って声をかけました。横内は、彼の師匠に当たる人間に紹介されました。彼は音楽性も幅広く、ナイス・フィーリングで、凄く曲を生かすドラムを叩きます。俺は礒江が小学生の頃から知っているし、ベースの米原(孝宏)は、彼が乳児の頃から知っている仲でもあります。(笑)

L: 新しい編成でのライヴも既に行われていますが、感触はいかがでしたか?何か変化は感じましたか?

H:スタジオで、音を合わせたら、素晴らしくてビックリしました。新メンバーの二人共、音楽的にある部分では、神がかっています。バンドが、水々しくなって潤ってる感じかな。今は、老人の我々が、彼らに助けられている状態です。(笑)

L:今後のMAVERICKの活動予定を教えてください。

H:4月に札幌のショウの後、DEATH WAORMと北海道の東方4都市のツアーに出ます。2014年に前任ドラマー中坪の怪我で、アコーステックライヴになった都市を今回はバンドで周ります。北見公演のみ、ドラムが横内の師匠であるSHOUTの鈴木克巳が叩きます。元レーベルメイトのHEAD PHONES PRESIDENTと再会するのも楽しみですね。
もっと詳しいMAVERICK情報が気になる方は、毎週火曜日22:00から、radio TXT FMドラマシティにて、WEEKLY MAVERICK HOUR HEAVY METAL ROMANCEを、チェックして下さい!http://776.fm

L:最後に「Natural Born Steel」に続くアルバムの計画や構想などがあれば教えてください。

H:アルバム2枚分以上の曲数は既にできています。おそらく、1stと2ndの中間プラスα的な感じになると思います。ROMANTIC POWER METALをよりムーディーにザクザクとやります!

L:どうもありがとうございました!

MAVERICK ライヴ・スケジュール

【DOGGI'N AROUND】 
4/06 (水) 札幌 CRAZY MONKEY 
北海道札幌市中央区南6西4丁目 ライトビルB1 
TEL 011-211-4480 
開場 18:00 / 開演 18:30 
前売券 2500円 当日券 3000円 ※1ドリンク別途500円

【Handsome Cherry Blossom 2016】 
4/10 (日) 北見 ONION HOLL 
北海道北見市川東37 
TEL 0157-24-0281 
開場 17:30 / 開演 18:00  
前売券 2000円 当日券 2000円 ※1ドリンク別途 500円 

4/24 (日) 帯広 MUSIC SPACE R 
北海道帯広市大通南17-2-2 
TEL 080-8293-2787 
開場 16:00 / 開演 17:00
前売券 2000円 当日券 2000円 ※1ドリンク別途 500円 

5/15 (日) 釧路 VEILED CAFE 
北海道釧路市愛国西1-11-7 
TEL 0154-36-9966 
開場 16:30 / 開演 17:00  
前売券 2000円 当日券 2000円 ※1ドリンク別途 500円 

5/29 (日) 旭川 MOSQUITO 
北海道旭川市3-9 
TEL 0166-24-8899
開場 17:30 / 開演 18:00  
前売券 2000円 当日券 2000円 ※1ドリンク別途 500円 

INFO http://natural-born-steel.com
info@natural-born-steel.com 
チケット御予約は、こちらからどうぞ。http://bit.ly/ticketsteel

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