一度歌声を聴いたら二度と忘れない歌手、UA。1995年のデビュー以来、「情熱」「雲がちぎれる時」といったオリジナル曲を発表し、天声の歌声を持つシンガーとして活躍している。そんなUAのデビュー15周年記念した企画の一つとして、2010年にリリースされたのが「KABA」である。タイトルの通り、UA本人が選曲した思い出深い曲たちをカバーしたアルバムだ。さすがUAというような、一味も二味も違う、デビュー15周年を飾るに相応しいアルバムとなっている。

特に聴いて欲しい「蘇州夜曲」

蘇州夜曲は李香蘭(山口淑子)主演映画の劇中歌として発表され、美空ひばり・小田和正・石川さゆりなど、数々の有名歌手がカバーした名曲である。UA本人も「歌がむずかしいだけに、現場では凄まじい集中力で歌いました」(「KABA」公式サイトより)と語っている。また、バックトラックには故HONZIのヴァイオリンが使われており、親友でもあった二人の才能の融合が見事なカバーに仕上がっている。

UA独特の選曲センス

筆者はこれまでカバーアルバムを約100枚聴いて来たが、「KABA」ほど選曲が個性的なアルバムは観たことがなかった。リリースされている曲の発表年は50年の幅があり、ブギからアニメソング、洋楽と選曲の幅も広い。収録曲のリストを見たときに「えっ」と驚いてしまうような、さすがの感性だとしか言いようがなかった。

その飛びぬけた感性に間接的にでも触れることができ、名曲をUAのアレンジと歌声で聴くことが出来るのだから、ぜひ一度は聞いてみて欲しいアルバムである。

【収録曲 (原曲歌手/発表年)】

1.モンスター (ピンク・レディー/1978年)

2.夜空の誓い feat. 甲本ヒロト(ザ・クロマニヨンズ)(HIS/1991年)

3.きっと言える(荒井由実/1973年)

4.買い物ブギ(笠置シヅ子/1950年)

5.セーラー服と機関銃(薬師丸ひろ子/1981年)

6.Day Dreaming(Aretha Franklin/1972年)

7.Under the Bridge(Red Hot Chilli Peppers/1991年)

8.Paper Bag(Fiona Apple/1999年)

9.わたしの赤ちゃん(七尾旅人/2010年に初めて音源化)

10.Hyperballad(Björk/1972年)

11.Love Theme From 'Spartacus'(映画「スパルタカス」より/1960年)

12.蘇州夜曲(渡辺はま子・霧島昇/1940年)

13.No Surprises(Radiohead/1997年)

14.妖怪にご用心(中山千夏/1973年)

15.tiru-ru-shi(こやまよしこ/2008年)