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長く入手困難な状態が続いていた、80年代のアンダーグラウンド・アメリカン・メタルを代表する伝説のバンドWARLORDの作品群がリマスターで甦った。今回、日本で紙ジャケ、SHM-CD仕様で再リリースされたのは「DELIVER US(悪魔の洗礼/1983年)」、「THE CANNONS OF DESTRUCTION(破壊の砲口/1984年)」、「RISING OUT OF THE ASHES(灰塵からの復活/2001年)」の3作品である。ちなみに最新作の「THE HOLY EMPIRE(2013年)」は国内盤が今でも流通しているので容易に手に入れることができる。

WARLORDが登場したのは1983年。MOTLEY CRUEやRATT、DOKKENといったLAメタルの旗手となるバンドとほぼ同時期である。派手なファッションやメイクで女性ファンの支持を集め、数多くのバンドがメジャー・シーンへ駆け上がっていく中で、WARLORDはデビュー当時からライヴ活動を一切行わず、ミステリアスな存在としてアンダーグラウンドで異彩を放っていた。バンドのファッションや、アルバムジャケットのアートワーク、メンバーが使っていた「デストロイヤー」「サンダー・チャイルド」といったステージネームからは、サタニック、あるいはダークなイメージを感じさせるが、その音楽性はむしろNWOBHMに通じるものがある。ヴォーカルやギターのメロディは美しく、どことなく哀愁を感じさせる雰囲気を持っている。WARLORDが本国アメリカより、むしろ欧州でファンの支持を集めているのも頷ける。良くも悪くも「見た目」が重要視されたアメリカにおいてWARLORDは間違いなく異端のバンドであり、それが時代を超えて語り継がれる伝説のバンドとなった所以でもある。

なお、今回の日本盤再発にあたっては各アルバムに付属の解説を、伊藤政則氏(悪魔の洗礼)、奥村裕司氏(破壊の砲口)、和田誠氏(灰塵からの復活)という豪華な顔ぶれが、それぞれ書下ろしで寄稿しており、非常に読みごたえのある内容となっている。また、3枚のアルバムをまとめたボックスセットも限定品としてリリースされており、ここにはなんと、疑似ライヴとして収録された「THE CANNONS OF DESTRUCTION(破壊の砲口)」のオリジナル映像をフル収録したDVDがボーナスとして封入りされている。これは日本盤のみの特典だ。CD3枚分の値段でDVDが無料で付いてくるという価格設定が嬉しい。