25作目のアルバム「★(ブラックスター)」を自身の誕生日にリリースしたボウイ

デヴィッド・ボウイ(David Bowie)が、2013年の「The Next Day」以来となる、25作目のニュー・アルバム「★(ブラックスター、Blackstar)」を、自身の誕生日である1月8日にリリースした。本作のタイトルは、ジャケットにある黒い星マーク「★」が正式タイトルで、読み方が「ブラックスター」となる。前作の「The Next Day」が、約10年ぶりのオリジナル・アルバムであり、今年69才となるボウイの年齢を考えれば、こうして3年のインターバルでニュー・アルバムが届いた、という事実だけでも、ボウイの音楽を愛するファンとしては、嬉しい事だろう。

未だ変化し続けるボウイのニュー・アルバム

しかし、本作は、単にノスタルジーを感じさせる様な内容では全くない。オープニングの10分近い大作「★(Blackstar)」から、60年代のデビュー当時から現在まで、常に変化を繰り返し、新しい音楽を創造してきたボウイが、未だ進化・変化を続けている事に驚かされる。音楽性の雰囲気としては80年代のPOPヒット・メーカー的なボウイではなく、70年代後半の「Law」や「”Heroes”」的な、暗さと美しさが同居した実験的なサウンドになっている。長尺曲は、タイトル・トラックだけで、他の曲は普通の長さの曲で、軽快なリズムの曲もあるが、80年代の様なチャート狙いの曲ではなく、不思議なサックスのメロディが聞えたりする、クセのあるアレンジが施されている。

常に音楽的な変化を止めないボウイの全ての作品を音楽的に楽しめるか?と言えば、ボウイの熱心なファンは別として、時代ごとに好みが分かれるのは当然だ。70年代のボウイのファンがLet’s DanceやChina Girl以降をどう感じるか?TIN MACHINEはどうか?あるいは80年代のボウイ曲から入ったファンで、90年代の「Black Tie White Noise」以降のアルバムも同じように聴ける人は、少数派と言って良いだろう。本作にしてもボウイのファンだからと言って、全ての人が気に入る内容ではない。少なくともLet’s DanceやBlue Jean的な曲は無いし、Young AmericansやZiggy Stardust的でもない。他のバンド、アーティストでも同じ事だが、ボウイの場合は、特に音楽性の変化が大きく、かつ、どの時代においても成功を収めているからだ。ファンの数が多ければ多いほど、変化に対する好みも分かれるのは当然だ。
ただ一つ言えるのは、本作は、ボウイが未だ変化する事を止めていない事を強く感じられる、アーティスティックなアルバムという事だ。