誇り高き英国の重戦車TANKが元DRAGONFORCEのZPサートを迎えて復活!

80年代に一世を風靡し、SODOM等数多くのバンドに影響を与えた、英国のヘヴィ・メタル・バンドTANKが、最新アルバム「Valley of Tears」をリリースした。最新ライヴをボーナストラックに収録した日本盤は12月23日にリリースされる。前作までのシンガーだった、ドゥギー・ホワイト(ex.RAINBOW)は、現在はマイケル・シェンカーのTEMPLE OF ROCKに在籍しておりTANKの活動からは退いている。ニュー・シンガーは日本でも高い人気を誇るDRAGONFORCEの元シンガー、ZPサートが務めている。本作では、ミック・タッカー&クリフ・エヴァンズのギター・コンビに加えて、元SODOMのボビー・シュトコウスキーがドラム、BLIND GARDIANでもプレイしているバーンド・クールボアが新メンバーとして参加している。正に超強力布陣によるアルバムだ。

2つのTANKが存在する現状

初期のTANKは、その名のとおり戦車の如き迫力で突進する3ピースのシンプルなメタルで、MOTERHEADのエディ・ファスト・クラークのプロデュースだった事もあり、MOTERHEADの弟分とされてきた。当時の中心メンバーは、アルジー・ワード(ベース&ヴォーカル)で、その後、一旦解散したバンドが90年代後半に復活した際も、在籍していたが、現在ではアルジーは在籍していない。というよりも、現在は、本作でプレイする、ミック&クリフ主導のTANKと、アルジー主導のTANKという2つのTANKが存在しているのが実態だ。少し前のQUEENSRYCHEと似た状況と言えば、理解しやすいだろう。2つのTANKはお互いを無視して活動しており、裁判で争う事態にはなっていない。

ZPサートの加入で更にパワーアップ

ドゥギーの時代もそうだったが、現在のシンガー、ZPサートはアルジーとは全くタイプの異なるシンガーなので、アルジー時代のTANKとはかなり雰囲気を異にする。本作は特にその傾向が強く、ZPサートのヴォーカルとミック&クリフのギターを中心としたメロディアスなブリティッシュ・ハードロック・アルバムに仕上がっている。ドゥギーよりも更にパワフルなZPがシンガーとなった事で、サウンドの迫力は増している。エッジの効いたリフとメロディアスなギターソロも素晴らしく、かつてのTANKに拘らなければ、最上のハードロック・アルバムとして満足できる内容だ。ドラマチックに展開するタイトル・トラックは特に素晴らしい。