ニュー・アルバム「Fallen(フォールン)」が日本で先行リリース

STRYPER(ストライパー)のニュー・アルバム「Fallen(フォールン)」が日本で先行リリースされた(海外のリリースは10/16)。2003年に再結成するも、なかなかバンド活動を軌道に乗せられなかったSTRYPERだが、2013年に過去の曲のリメイク・アルバム「Second Coming」をリリースしてから、徐々に活動が安定してきた感がある。一時期はオリジナル・ベーシストのティム・ゲインズが参加していない時期もあったが、現在の編成はマイケル・スウィート(ギター、ヴォーカル)、オズ・フォックス(ギター)、ロバート・スウィート(ドラム)、ティム・ゲインズ(ベース)のオリジナル編成で活動をしている。

正統派ヘヴィ・メタル路線が強調されたアルバム

本作「Fallen」の音楽性は、基本的にはSTRYPERの正統派ヘヴィ・メタル路線が強調されたアルバムと言える。80年代にSTRYPERをメジャーに押し上げたヒット・ソング、Calling On You、Honestly、 Always There for Youといった曲のイメージが先行しているが、正統派メタルもSTRYPERが初期の頃から得意としてきた音楽性だ。ヘヴィではあるが、ダークでは無い。グルーヴィーなリズムに、ヘヴィなリフが絡み、そこにマイケルの表現力豊かなヴォーカル・メロディが乗る。Calling On YouやAlways There For Youの様なキャッチーさを求めると肩透かしを食らってしまうが、80年代メタル・ブームを象徴する様な曲を、今更、新曲に持ち込む必要はないだろう。ライヴで聴ければそれで充分という気がする。After ForeverはBLACK SABBATHのカバーだ。かつて「クリスチャン・メタル」として売り出していた彼等がBLACK SABBATHの曲をアルバムに入れるのは面白い組み合わせだが、全体的にヘヴィな曲が多いアルバムなので、音楽的には違和感なく溶け込んでいる。

先入観に捕らわれずに聴いてほしいメタル・アルバム

バンドの熱心なファン以外の一般的なハード・ロック、ヘヴィ・メタルファンの多くにとっては、STRYPERと言えば80年代に黄色と黒のストライプ衣装を着て、ステージから聖書を投げるパフォーマンスで有名だったクリスチャン・バンド、代表曲はTo Hell with the DevilとHonestlyという程度のイメージしかないかもしれない。しかし、是非、本作は、そういった先入観を抜きに聴いてほしい。音楽性は少し異なるが、RIOT(日本以外でのバンド名は、RIOT V)の最新作「Unleash the Fire」の様に、正統派のクラシック・スタイルを保った新しいメタル・アルバムとして、今の時代のメタル・ファンに受け入れられるクオリティのアルバムだ。なお、日本盤にはボーナストラックとして、アルバム本編唯一のバラードAll Over Againのアコースティック・バージョンが収録されている。